制作会社で働いて、制作そのものではなく成果を見るようになった

私はこれまで、ドリンクメニューの制作、不動産会社のインハウスデザイナー、そして現在のWeb制作会社と、さまざまな形でデザインやWeb制作に携わってきました。

その経験を通して、以前から大切にしている考えがあります。

「デザインは目的ではなく、目的を達成するための手段」

ということです。

きれいなデザインを作ることや、高度なコーディングをすること自体が、クライアントの目的ではありません。

Webサイトであれば、その先にある、

  • お問い合わせを増やしたい
  • 商品やサービスを知ってもらいたい
  • 検索からWebサイトを見つけてもらいたい
  • 来店や購入につなげたい
  • 採用への応募を増やしたい
  • 企業やサービスへの信頼感を高めたい

といった目的があります。

現在Web制作会社で働く中で、この考えはさらに強くなりました。

今回は、これまでのデザインの仕事とWeb制作の経験を通して感じている、「デザインもコーディングも、目的ではなく、その目的を達成するための手段」ということについて書いてみたいと思います。

ドリンクメニュー制作で学んだ「デザインの目的」

Web制作に携わる前、私は飲食店などで使用されるドリンクメニューの制作をしていました。

ドリンクメニューを制作するときも、単に「おしゃれなメニューを作ればいい」というわけではありません。

大切なのは、そのメニューを見たお客様に商品を分かりやすく伝え、注文につなげることです。

例えば、

  • どの商品を目立たせるのか
  • 写真をどのくらい大きく見せるのか
  • 商品名や価格をどう配置すれば見やすいのか
  • お店の雰囲気に合った色は何か
  • どの順番で商品を見せるのか

といったことを考えながら制作します。

自分が好きな色やフォントを使うことが目的ではありません。

どれだけ自分好みのデザインに仕上がっていても、商品が分かりにくかったり、価格が見つけにくかったりすれば、メニューとして十分な役割を果たしているとは言えません。

この仕事を経験したことで、私は早い段階から、デザインは何かを伝えたり、行動につなげたりするために使うものだと考えるようになりました。

インハウスデザイナーで「会社の目的」を考えるようになった

その後、不動産会社でインハウスデザイナー兼事務として働きました。

ここでは、バナーや広告の制作、Webサイトの修正・更新、WordPressの更新など、自社に関するさまざまな制作物に携わりました。

インハウスデザイナーは、制作会社とは違い、自社の商品やサービスを継続して見ていく立場です。

そのため、単に制作物を完成させるだけではなく、

  • 誰に向けた広告なのか
  • 何を一番伝えたいのか
  • どのような行動につなげたいのか
  • 会社としてどのような印象を持ってもらいたいのか

ということを考える機会が増えました。

例えば、バナーであれば「きれいなバナーを作ること」が目的ではありません。

広告を見た人に興味を持ってもらい、その先のページを見てもらうことが目的です。

Webサイトであれば、見た目を整えるだけではなく、必要な情報を分かりやすく届けることが重要になります。

ここでもやはり、デザインは目的を達成するための手段だと感じていました。

Web制作でも「作ること」が目的ではない

現在はWeb制作会社で、Webサイトの制作や運用に携わっています。

Web制作では、デザインだけではなく、HTML・CSS・JavaScript、WordPress、STUDIOなど、さまざまな技術やツールを使います。

制作する側にいると、どうしても、

  • デザインをきれいに仕上げる
  • カンプ通りにコーディングする
  • きれいなコードを書く
  • アニメーションを実装する
  • 新しい技術を使う

といった「作ること」に意識が向きやすくなります。

もちろん、どれも制作の品質を高めるために大切なことです。

しかし、クライアントがWeb制作会社に依頼する目的は、デザイナーにきれいなデザインを作ってもらうことでも、コーダーにきれいなコードを書いてもらうことでもありません。

クライアントが本当に求めているものは、その先にあります。

クライアントが求めているのは、公開した後の「結果」

Webサイトを制作するとき、制作側にとっては「公開」が一つのゴールになります。

しかし、クライアントにとっては、公開してからがスタートです。

例えば、Webサイトを作る背景には、

  • お問い合わせを増やしたい
  • 新しいお客様を増やしたい
  • 自社の商品やサービスを知ってもらいたい
  • Google検索からアクセスを増やしたい
  • 採用への応募を増やしたい
  • 会社の信頼性を高めたい

といった目的があります。

つまり、クライアントが本当に必要としているのは、Webサイトそのものではなく、Webサイトによって得られる結果なのだと思います。

きれいなサイトでも、お問い合わせにつながらなければ意味がない

例えば、お問い合わせを増やすことを目的にWebサイトをリニューアルしたとします。

写真がきれいで、アニメーションもあり、デザインとして完成度の高いサイトができたとしても、それだけでお問い合わせが増えるとは限りません。

ユーザーにとって、

  • 何をしている会社なのか分かるか
  • サービスの特徴が伝わるか
  • 他社との違いが分かるか
  • 料金や利用方法が分かりやすいか
  • 不安や疑問を解消できる情報があるか
  • お問い合わせ方法がすぐに分かるか

といったことの方が重要になる場合があります。

お問い合わせボタンを美しくデザインすることはできます。

しかし、そのボタンを押したくなるだけの情報がユーザーに伝わっていなければ、お問い合わせにはつながりません。

だからこそ、デザインを考えるときにも、

「どう見せるか」

だけではなく、

「なぜ、このように見せるのか」

まで考えることが大切だと思っています。

SEOもWebサイトの目的を達成するための一つの手段

Webサイトを作っても、見てもらえなければお問い合わせや購入にはつながりません。

そこで重要になるものの一つがSEOです。(アクセス解析は難しく、まだまだ勉強中です)

検索からWebサイトを見つけてもらうためには、

  • どんな人にサイトを見てもらいたいのか
  • その人がどのような言葉で検索するのか
  • 検索した人が知りたい情報が掲載されているか
  • ページのタイトルが内容を適切に表しているか
  • サイト内の情報が分かりやすく整理されているか

などを考える必要があります。

SEOも、「検索順位を上げること」そのものを目的にしてしまうと、本来の目的から離れてしまいます。

検索順位が上がったとしても、訪れたユーザーがお問い合わせや購入につながらなければ、クライアントが本当に求めていた結果には届きません。

SEOもまた、クライアントの目的を達成するための手段の一つなのだと知りました。

Webサイトは公開してから育てていく

Webサイトは公開したら終わりではない。

実際に公開してみなければ分からないこともたくさんあります。

Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどを利用すれば、

  • どのくらいの人がWebサイトを訪れているのか
  • どのページがよく見られているのか
  • どのような検索キーワードから訪れているのか
  • Google検索でどのくらい表示されているのか

などを確認できます。

例えば、アクセスは増えているのにお問い合わせが増えていなければ、サイト内の導線やコンテンツを見直す必要があるかもしれません。

逆に、お問い合わせ以前にアクセスが少ないのであれば、SEOやコンテンツを改善する必要があるかもしれません。

このように、

制作する → 公開する → 数字を見る → 改善する

という流れを繰り返しながら、タイトルやデスクリプションなどを修正して、少しずつ目的に近づけていくことが大切なのだと思いました。

自分の好きなデザインを作る仕事ではない

私はデザインが好きですし、配色や写真、レイアウトなどを考えることも好きです。

だからこそ、自分自身への戒めとしても、「デザインを目的にしない」ということを意識しています。

自分が好きなデザインと、その案件に適したデザインは同じとは限りません。

私は落ち着いたシンプルなデザインが好きですが、子ども向けのサービスであれば、明るく親しみやすい表現の方が適しているかもしれません。

例えば高級感のあるデザインが好きだったとしても、気軽さや親近感を伝える必要があるサービスには合わないこともあります。

大切なのは、

  • 誰に見てもらうのか
  • 何を伝えたいのか
  • どのような印象を持ってほしいのか
  • どのような行動をしてほしいのか

という目的からデザインを考えること。大ベテランのデザインスクールの先生に教わりました。

デザイナーの好みではなく、ユーザーとクライアントの目的から考える。

ドリンクメニューを制作していた頃は意識はしていたものの、そこまでは考えていなかった。

コーディングも目的ではなく手段

Web制作会社で働くようになり、同じことはコーディングにも言えると感じています。

HTMLやCSSをきれいに書くことや、保守しやすいコードを書くことはもちろん重要です。

ただ、「難しいコードを書けること」や「新しい技術を使うこと」自体を目的にしてはいけないと思いました。

ユーザーにとって大切なのは、

  • ページが正しく表示される
  • スマートフォンでも見やすい
  • ページが使いやすい
  • ボタンやフォームが正しく動く
  • 必要な情報をストレスなく見つけられる

ということでした。

例えば、シンプルなWebサイトで十分なのであれば、必ずしも複雑なJavaScriptやアニメーションを入れる必要はありません。

WordPressが必要なサイトもあれば、STUDIOのようなノーコードツールの方が更新しやすく、クライアントにとって使いやすい場合もあります。

制作する側が使いたい技術ではなく、そのサイトに何が必要なのかを考えることが大切だと思います。

デザイン・コーディング・SEOは、すべて同じ目的につながっている

以前の私は、デザイン、コーディング、SEOをそれぞれ別の仕事のように考えていました。

しかし、実務を経験するにつれて、少しずつつながって見えるようになりました。

例えば、お問い合わせを増やすことが目的なら、

  • SEOでサイトを見つけてもらう
  • 分かりやすいデザインでサービス内容を伝える
  • 使いやすいサイトとして正しく実装する
  • お問い合わせまでの導線を設計する
  • 公開後のデータを確認して改善する

という一連の流れがあります。

どれか一つだけが独立しているのではありません。

すべて、クライアントが達成したい目的につながっています。

デザイン

コーディング

SEO

アクセス解析

これらはすべて、目的を達成するために使う手段なのだと思いました。

まとめ|「何を作るか」より「なぜ作るか」を考えたい

私はドリンクメニューの制作をしていた頃から、デザインは目的ではなく手段だと考えてきました。

不動産会社でインハウスデザイナーを経験し、現在Web制作会社で働く中で、その考えはさらに強くなっています。

ドリンクメニューなら、商品を魅力的に伝え、注文につなげる。

広告なら、興味を持ってもらい、その先の行動につなげる。

Webサイトなら、検索から見つけてもらい、サービスを知ってもらい、お問い合わせや購入につなげる。

媒体は変わっても、考え方の根本は同じなのだと思います。

デザインもコーディングも、目的ではなく、その目的を達成するための手段。

そしてSEOやアクセス解析も、その目的を達成するために使う手段です。

Web制作をしていると、どうしても「どう作るか」に意識が向きます。

しかし、本当に大切なのは、

「なぜ、このサイトを作るのか」

「誰のために作るのか」

「公開した後、どんな結果につなげたいのか」

ということだと思います。

技術やデザインを磨くことはもちろん大切です。

それと同時に、まだよくわかっていないこと誰家なのですが、その技術を使って何を解決するのかまで考える。

私自身も、ただWebサイトを作れる人ではなく、クライアントの目的を理解し、その目的に合った方法を提案できる制作者になりたいと思っています。